第2章 心の距離は月と地球よりも遠い
食堂に行くと乱や秋田達が主の座る席の隣に座っていた。
迷惑ではないだろうか…
「あっ!いち兄!早くー!」
乱が此方に気づき私に手招きをする。
若しかして、弟達は主と私と一緒に食べる心算だろうか。
如何したものか、物凄く気まずい。
私は笑顔を作って乱の隣に座る。
乱の隣は主。物凄く気まずい。この距離ならば話さなければならない時もあるだろうか。
「…一期一振さん。」
主は私の顔を見つめて名前を言う。
気まずすぎて溶けてしまいそうだ…
い、今私はちゃんと笑えているだろうか…
…主は、私の事嫌いだろうか。
恐る恐る主の目を見て挨拶をしようとした。
すると、主の顔は。
「おはようございます、一期一振さん。
相変わらず、モテてますね。」
とても素敵な笑みで私に挨拶をしてきた。
「お、おはよう…ございます。」
唖然。唖然だ。
先刻の圧力は一体如何したのだろうか?
全然普通じゃないか。笑ってる。とても素敵に。
「あ、僕たちご飯とってくるー!」
「いち兄、僕たち行ってきますね。」
弟達が朝食を取りに次々と居なくなる。
この机に私と主。二人きりになってしまった。
「何をそんなに緊張してるんですか?
若しかして、早朝の事とか、まだ考えてます?」
「えっ!否、私はそのっ!悪気は無かったんです!!」
私は必至に朝の事を誤魔化す。
本当に私の事嫌ってるんじゃないか!?
私の額から汗が流れる。
「……別に、怒ってるわけじゃないです。
そんなに焦らなくても、刀解処分とかしません。」
主は私にそう言って落ち着かせる。
怒っているわけでは無い。その台詞を聞くと胸が落ち着いた。
「そ、そうですか…。
良かった、嫌われたかと思いました。」
「…そうですね、まだ嫌いではないです。」
その言葉にグサリときた。
「そんな事では私は別に如何もしません。
ただ、それ以上の疑問と真実を求めるのだけは駄目です。」
「あ、いえ、それ以上の事は求めてません!」
そう言うと主は私を
押し倒してきた。
「嘘吐き。
貴方の顔に書いています。
『ソレ以上ヲ求メテマス』と。」
私の唇に人差し指を添えて。
真剣な顔でそう言う主。
というか、
この状況に心拍が上がっている自分が恥ずかしい。