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分からないだけ

第2章 心の距離は月と地球よりも遠い


其処に現れたのは、内番服を着た眼鏡が似合う私の弟の、

薬研だった。

「何騒いでんだよ。
いくら人目につかない所でもこんなに騒がしかったら目立つぞ。気をつけろや。」


そう言いながら薬研はこちらに近づき、加州殿の手を掴んだ。

「悪ぃ、加州。これから俺っちはいち兄に用があるんだ。
少し貸してくれねぇか?」


「……ごめん、先刻の忘れて。」


顔を斜め下に向ける加州殿。
少し罪悪感があるが、薬研のおかげでこの場から逃げられるようになったが、


「…?如何した、いち兄。何処か悪いか?」


「否、なんでも無いよ…」


薬研も主に関わっている刀だ。若しかして薬研も主の事が…

「…それでは加州殿。私は此処で失礼します。
明日の任務、宜しくお願い致しますね。」

「…うん、ごめんね。」

私に別れの挨拶をする加州殿の顔は、まるで少し拗ねている子供の様な、そんな顔だった。


私の事が苦手なんだ。


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「薬研、如何して主の居る剣道場に私を連れてきたんだい?」


剣道場のど真ん中で、主は仁王立ちをし、まるで自身満々な顔で木刀を肩にかけ、私の顔を見る。


「いや、私が頼んだんです。一期一振さん。」


「そうだぜ、大将が俺に呼んで来いとパシリやがったんだ。」


「決してパシッた訳では……まぁ、うん。パシッた。ごめんなさい薬研さん。」


主が私の弟をパシリに使ったのは置いておいて、


「どの様なご用件でしょうか?」


「何、ちょっとしたトレーニングです。
今日の朝、私の鍛錬を見た訳でしょう?なので、私の力を見せつけたくて。
それに、明日は貴方に初の任務、大きな『本丸荒らし』の仕事を任せました。ので、一寸一緒に戦ってもらいます。」


木刀を構え、『いざ勝負』と分かりやすく顔に現れている。


「…ええと、私は内番服ですが…着替えたほうが宜しいでs」


「駄目です。今ここで、今この瞬間を大切にしたいので、
今この状況で、戦いを始めましょう。」


「いち兄。大丈夫だ。大将はとても優しくてな。
手加減してくれるさ。それに、俺はいち兄を応援するし、安心しな。」


否、そういう問題ではなく……


「…はぁ」

何だろう、


この本丸は疲れる。
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