第14章 ランスロットー執着とキスー
「…あ…」
紙が光る。アリスは何故その紙が光ったのかもどうして宙に浮いているかもわからない。
「…?」
「…二人っきりになれば繋がれたら手は離れる。」
ランスロットが初めて口を開いた。アリスはその言葉を聞きゆっくり手を離してみる。
「…離れ、た…っ!……よかったっ!お兄さんそのためにここに連れてきてくれたんですか?ありがとうございます!言ってくれれば自分で歩けたのにーっ、もうっ、怖い人かと思ってヒヤヒヤしちゃったじゃないですかっ、」
心底嬉しそうにアリスが笑う。
「……」
「いや、びっくりしましたよ!いきなり光に包まれて、気付いたら私空に浮いてて、そんでもって一気にピューンって落ちて、死んじゃう!って思ったらお兄さんの腕の中で…ほんと、これは、一体…」
「……そうか」
「…これ、って、…ゆめ、ですよね…?じゃあ、あなたは私の夢の中で一体何を?…てゆうか私の夢なんだから勝手に俺を出してるのはお前だ!とか思ってます?それだったらすみませんっ、私も良くわかってなくて。こんなリアルな夢を見たのは子どもの頃ぶりで…」
「……あぁ。」
「…これは、ゆめ、です、よね…?お兄さん…」
アリスが不安そうに確かめるようにランスロットへ問いかける。残念だがーーランスロットはそう呟くと離れたはずの手を握り直しグッと引き寄せた。
「…夢ではない。」
そのままアリスはランスロットの腕の中へすっぽりとおさめられる。
「っ!?」
「これは夢ではない。アリス。」
「…あ、の…」
「貴様は俺だけのアリスだ。」
「な、に、を…」
アリスはパニックなのか抵抗せず大人しくその腕におさまっている。
「…貴様は知らないのか。交換の約束を。」
「…こうかんの、約束って…それは、昔の…」
「そうだ。昔からの言い伝えだ。」
「っ、ま、さか、…っでも!お爺ちゃんが笑いながら教えてくれただけで!私が選ばれるなんて言ってなかったし…それに!そんな事起きるなんてありえないっていうか、夢物語っていうか…っつまり!これは夢ってことで、いいんじゃ…?」
「…夢ではない。現実だ。交換の約束がたった今起きた。選ばれたのは俺とお前だ。」
そんなーー
アリスは状況が理解できず黙ってしまう。
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