第14章 ランスロットー執着とキスー
ランスロットの体にぴたりとくっついたアリス。
「……」
「っちょ!?なな、何っ!?え?え?」
その口からは焦った様子で次々に言葉が紡がれる。
「………」
ランスロットは一言も話さずアリスの手を掴むと自らへ回させた。
「っ、ちょ!お兄さんっ!」
それも無視。でも回した腕の上から抱きしめ直された為離れることが出来ず、その力が強すぎて暴れることもできず、アリスは大人しくそれを受け入れた。それでも無意識なのかひたすら独り言を呟いている
「…どうしよ…ゆめかな…?、ゆめだよね?…てかこの兄さんこわいし…いや、でも、抱きしめられてちょっと痛いし…ゆめじゃないのかな…?まさか、お爺ちゃんが教えてくれたなんとかの約束ってやつなの?あんなの作り話じゃ?…でもちょっと痛いし…力強いなこのお兄さん…こわいひとなのかな…緩めてくれないかな…」
きっと口に出していることに気付いていないだろうアリス。ランスロットはそのつぶやきを聞いてほんの少しだけ抱き締める力を弱めた。
5分後そっと二人の体が離れる
「…助かった…っ」
でもかわりにお互いの手がくっついた。
「…え?」
アリスが繋がった手を持ち上げて目を見開く。
「な、な、っ!なんなの?!もう!なんでくっついちゃうかなー?ちょっと、離れてよーお願いしますよー?ね?ね?」
ブンブンとその手を離そうと振り回すが一切離れる気配はない。ランスロットはそれが終わるまでひとしきり付き合うとアリスが疲れて諦めたのを確認しグッと腕に力をこめた。
「…え…?あ、ごめん、なさいっ、お兄さん…」
振り回していたのがランスロットの腕だと気づきアリスが慌てて謝る。それを聞いているのか聞いてないのかランスロットは反応せずかわりにアリスを引き寄せると空いている手を器用に使いそっと横抱きにした。
「…へ…?」
アリスの体が宙に浮く。
「っ、??…あ、の、…」
そしてそのままランスロットは歩き出した。
「!!…下ろして!ねぇ!離してっ!お兄さん?お兄さん聞いてる?ねぇ!重いから下ろしてって!歩けるから自分で!」
無視。フル無視。
結局ランスロットの部屋につくまでアリスは下ろして貰えず部屋に入ってようやくソファーへと降ろされた。
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