第10章 シリウスー大人と悪魔とキスとー
シリウスが嬉しそうに微笑んだ気がした。今までとは違う見下していない笑顔だった。
「よし。いいこだな。」
頭をポンポンと撫でられその心地良さに思わず目を細めてしまう。でもそれと同時に唇を奪われキスが再開されると待ち望んでいた快感がドクドクと脈打って解放されようと暴れ回る
ーーイクッ
「っぁ、んーーーーッ」
長くて甘美な絶頂は指先や足先まで痺れさせ身体の力が抜けていくのがわかる。もう少しーーあと少しで全部飲み込む。
「っ、…ぁっ」
でも身体に溜まった熱が全て放出される前にシリウスが唇を離してしまった。絶頂の波の中伏、まだ途中の焦れったいところでストップされもどかしくて切ない。
「…ど、して…っ」
「声が小さかったからな。」
「…ぇ…?」
「さっきのおねだりは声が小さ過ぎた。ちゃんと言えって言っただろ?」
シリウスは意地悪に笑う。
「っそ、んなっ」
「辛そうだな。…イッてるのに終わらないってとこか。中途半端な解放ほど切ないものはないだろ」
ーーわかってるなら
「もう一度、おねだりしたから解放してやる。」
「ッ、悪魔っ」
「俺は悪魔でもなんでもない。嬢ちゃんよりちょっと大人だったってだけだ」
「っ、…」
悔しい。でも、このままなんて。
「んっ」
そんな気持ちの背中を押すようにシリウスが啄むだけのキスを繰り返す。チュッチュッと唇を吸われどんどん思考能力が低下していく。
「…どうする…?言うか、それともこのままか」
「っ、はぁっ、」
「言えばその半端な絶頂なんか目じゃないくらいのやつを味わえる」
「…んん、っ、」
キスが止まる。お互いの呼吸だけが聞こえる。
「っ、かせて、っ…」
「…まだ、小さい。もっとだ」
「ッ、い、か、…てくださ」
「ちゃんと俺の目をみて言え」
アリスの意思を導くようにシリウスが囁く。
「いかせて、くださ、っ…」
「もう一度。俺が納得するまで言い続けろ」
「いか、せてください、っ」
「まだだ」
「っ、お願いっ、イカせてっ、くださいっ、シリウスッ…っ、」
「…合格だ。」
低い声がアリスに告げる。
やっと、やっと、解放される。
next