第9章 レイー目は強がりよりモノを言うー
「…俺の名前、呼んでくれるか?」
目をジッと見つめられたまま頼まれアリスが口を開く
「…れ、い…」
「…もう一回。」
「…れい、っ、…レイ…」
呼んでいるうちにどんどんと心が満たされていくようで言いづらさがなくなってくる。
「…あぁ。」
「…レイ。レイ。…レイ…」
「…すみれ…」
レイもつられるようにアリスの名前を呼ぶ
「…っ、ん…」
「…すみれ…すみれ…、俺のアリス。…」
そのまま溶けてしまうのでないかと言うほど見つめ合い確かめるように名前を呼び合う
「…っ、」
「…なぁ、すみれ。俺のこと、どう思ってる…?」
「…ぇ…?」
「好きじゃないだけで何とも思ってないのか?」
「っ、ぁ、…それ、は…」
「…通じ合ったと思ってるのは俺だけか?あんなに拒絶されたんだ。俺にはまだ自信がないから…なぁ、どう思ってるんだ?」
「……っ、き…」
「…聞こえない」
「っ、だから、っ、す、…き、です、…」
「ん?」
「っ、すきです、」
その声はレイの心を掻っ攫う。不安が払拭される魔法の言葉のようだ。
「…すみれ…っ、俺も、お前が好きだ。」
ーーーッ
それは突然だった。見つめ合ったまま名前を呼ばれ愛の言葉を囁かれるとアリスの身体を電気が走った
「っ、ぁ、ーーぁあ、っ」
予想もしてなかった出来事にパニックを起こす
「おい、すみれ?…まさか、…」
「っ、うそ、っ、…っ、なん、か、っ」
身体に起こった異変に思わず目を閉じてしまいそうになるアリス
「…すみれ、目を開けろ…」
アリスはその声に従いなんとかレイの目を見つめ耐える
「…お前、今…」
「っ、やっ、…」
言わないでと懇願するように照れたアリスがレイに訴える
「…勘違いかもしれないな…」
「…ん、…」
レイがまた口を開く
「…すみれ…すきだ…」
「ーーあぁ、っ、ぁ、ーーッ」
レイに見つめられたままアリスはまた絶頂する。
「勘違いじゃねぇな。…俺のアリスは見つめたまま名前を呼んで愛を囁くと、…イクのか。」
レイが嬉しそう笑う。その笑顔はいたずらっ子のようで、でも欲をしっかり秘めた大人の顔だ
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