第9章 レイー目は強がりよりモノを言うー
「っ、やめてよっ、…恥ずかしい…っ」
アリスの声が色を持ったようにレイの耳は響く。さっきまでの彼女はそこにはいない。レイは縮まった距離に嬉しさからその唇へ1つキスを落とした。
「…すみれ…」
「…っ、」
アリスがそれを受け入れる。
「…なぁ、…課題…、俺の目を見つめるのは、いや、か?」
「…ぃや、じゃないよ…、ただ、っ…」
「ただ…?」
「っ、ドキドキするのっ、…レイの目、凄く、真っ直ぐで、力強くてっ、…わたし…っ」
嫌じゃないと言われレイは益々嬉しくなる。
「…なんだよ…」
「っ、…」
「…俺はお前と見つめ合いたい。…やっと誤解が解けたんだ。…これからはちゃんと思ったことを伝えていく。…だから…すみれも…」
両手で頬を包まれそっと目線を合わせられる。
「っ、レ、イっ…」
目の奥まで見透かされるような目力にアリスがぼーっと引き込まれる。その漆黒の目には自分が写っているのがわかる
「…すみれの目は澄んでるな。綺麗な色してる。…凄く好きな目だ。」
「っ、…」
レイがアリスの前髪を耳にかける。
「…目だけじゃない。…すみれはすげぇ美人で可愛い。…」
「っ、ぅそ、…そんなこと、っ」
「嘘じゃねぇよ。…お前科学の国でどんな人生を歩んできたんだ?これだけ美人で声をかけられないはずがない」
「…っ、意地悪、されてた、から、女の子はほとんど口を聞いてくれなかったし…」
「っ、それは…!」
「だ、から、わたし、可愛くなんて…」
「ちげぇよ!…それは明らかに嫉妬だ。…お前の顔が整ってるが故に向けられたんだ。…聞きたくないけど、…男は、どうだった?」
「…っ、ぁ、…ぁの、…」
「やっぱ、言わなくていい。」
アリスの反応にレイが呟く。まだ何も聞いていないのに嫉妬してしまう。自分と会う前の事だから仕方ないが聞いてしまったら不貞腐れてしまいそうなのでここで止めておくことにする。
「…やっぱ、すみれが運命の相手で、俺はすげぇ幸せものだ」
「…っ、れ、い…」
「…俺のところに来てくれて、ありがとな。」
「…ぁ、の…ゎたしも、っ……レイが運命の相手で、とても、幸せですっ、」
「すみれ…」
見つめあったまま笑い合う。課題の15分はあっという間に過ぎていった。
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