第9章 レイー目は強がりよりモノを言うー
「っ、」
アリスはギュッと目を閉じていた。開けられない。だってーー
「…なぁ、目、開けろよ。…俺の事嫌いなのはもうわかったから…だったら一ヶ月だけ戦争にならない為だと思って耐えてくれよ。ルールの紙が光った時以外はお前に近づかないようにするから。だから、一ヶ月耐えて…」
ーー何言ってるの?それは
「っ、耐えるのは、あなたの方でしょ…?」
「は?」
レイはアリスの言葉の意味がわからず思わず聞き返す
「私なんかがあなたの相手だって知って、嫌だった…?」
「え?」
アリスの思いが遂に溢れ出して無意識に口を動かす
「っ、だって、最初からずっと、ため息ばかりだったし…キスしてるときもイライラしてた…、耐えろって自分に言い聞かせてたし…っ、わたしが運命の相手で、ごめんなさいっ、」
「っ!?お前、何勘違いしてっ、」
堰を切ったように溢れ出すアリスの本音。レイは混乱しながらも昨日の自らの様子を思い出してハッとした
最初からイライラしてたかもしれない。抱きしめ合う課題の時は時間に追われアリスの顔も見ずに腕を回させた。思い返せば一つ一つ誤解を招くことような態度だった。アリスが喋らないのも、目を見ないのも、自分の配慮が足りなかった。
「っ、きらいなのは、あなたの方でしょ…?…わたしがアリスだってわかって、落ち込み、ましたか…?ごめんなさい…でも、私も戦争になるのは嫌、だから一ヶ月だけ、耐えてほしいです。お願い、します…」
アリスのがまっすぐにレイの目を見つめる。レイはヒュッと息を飲んだ。
「っ、ちがう、俺は…っ」
「なにも、言わないで、ください、課題を終わらせてくれればいいです…だから、もう、話さなくて、大丈夫、です…無理なんてわがまま、言ってすみませんでした…っ」
アリスの目は何処までも澄んでいてレイの心臓はバクバクと音を立てていた。解きたい誤解が沢山あるのに目を合わせてるという歓喜で言葉が出てこない。
「っ」
一方アリスはこれ以上レイに迷惑をかけられないという思いだけで意を決してレイの目を見つめていた。ほんとはずっと会いたかった運命の相手。会う前から恋してたと言っても過言ではない。そして出会った瞬間に心を全て奪われた。ーーレイが運命の相手でよかった。でもーー
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