第6章 セスーキスと二重人格ー
"あと10分"
"あと5分"
息継ぎの合間にセスのカウントダウンが入る。もうすぐ、あと少し。時間の流れが余りにもゆっくりで焦れて焦れて辛い。
「あと3分」
セスはそう告げるとアリスの舌をずちゅっと音を立てて吸い上げた。
「んっ!?…ぁぁっ」
アリスの身体が大きく反応して膝が震える。離してーー、声にならないそれはアリスの身体を無意識に動かしてセスの身体を思いっきり押して離れようともがく。
セスは離さない、それどころか頭を抑え軽く歯を立ててアリスの舌を優しく噛む。
「っああ、あぁぁーーっ」
小さく呻いてアリスの全身のチカラが抜ける。ふやけてしまったようにトロンと強張りがとれるとセスがやっと舌を離す。
「イッただろ…?」
聞いたことない声に意識が覚醒する。
「すみれ…イッたよな?」
囁かれ、戸惑う。わからない。
「ルール破るか?また1からだぞ。」
低い声に集中し、理解すると怖くなる。もう、きっと、耐えられない。怖い。もう一度なんて無理。
「っ、やぁ、…」
アリスは力の抜けた体で懸命に首を振る。
「…っや、…続けてくださっ…」
あと少し。これで解放される。
セスがニヤリっと笑う。
「…だめだと言ったら…?」
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