第6章 セスーキスと二重人格ー
"60分間のキス"
最後にルールの紙が光ったのが40分ほど前。つまり40分間アリスはセスと唇を重ねていた。
「んぅっ…はあっ」
息が苦しい。息継ぎのタイミングを全てセスにコントロールされているため、アリスの意識はぼーっとしている。それなのに身体の芯がジワッと熱い。泣きそうだ。
「っ、…せす、さんっ…もっ、いきがっ…っ」
少しの息継ぎの合間にアリスが言葉を紡ぐ。身体がおかしい。キスをしているだけなのにアリスの身体はビクビクと反応しはじめていた。
「…そう?…じゃあ、ルール破ってみる?」
ニコッと微笑むセスに働かない頭をフル回転させて
アリスは問いかける。
「るーる…?」
「そう。この課題のルールはね、時間まで1分間以上相手と唇を離さないこと。」
「…?」
「もしルールを破ったら…」
セスが口角をあげる。
「最初からやり直し。」
"やりなおし"
その言葉でぼーっとしていた意識がほんの少し覚醒する。もう一度、それはまたはじめから1時間。
アリスは自分の身体がおかしくなってることに不安を感じていた。何かに飲み込まれそうな不安。身体がおかしい。どうしてなのか、わからない。なのにまた1時間…想像しただけで泣きそうだった。
「そっんな…!むりですっ」
セスの目が光る。欲を孕んでギラリと。
「セスさんっ!あのっキスの、続き、してくださいっ」
あと20分耐えれば終わる。アリスはそれだけに突き動かされて
セスに頼む。そしてキスを再開する。
20分身体が耐えてくれれば。終わる。
next