第6章 セスーキスと二重人格ー
「あ、きちゃったみたいね。」
ルールの紙が光って文字が浮き出る。
"15分間のキス"
その紙を見つめ事細かいルールまで読んでいくアリス。セスは知っている。読まなくてもわかる。どんなルールなのか。だからこそアリスの顔がどんどん赤くなっていくのが可愛く思えるのだ。
「ちゃーんと読めた?」
笑顔で問いかけるセスにアリスはキュッと顔を歪めた。
「わかってると思うんだけど…これしないと戦争になっちゃうのよ。科学の国と、この国が。」
「…っ」
「脅すつもりはないの。けど、ごめんね?」
そう言って華奢な体を引き寄せるとキュッと閉じられた唇にキスを落とす。
「っ…っん…」
身体がかたくなってるのがわかる。セスは緊張を解こうと唇を離しニコッと笑いかけた。
「…大丈夫だから。ね?」
もう一度。
「大丈夫よ。」
更にもう一度。
「チカラを抜いて。口をあけてみて?」
アリスが戸惑いながら口を薄く開くと。
「いいこね。」
その隙間にセスの舌が割り込んで入る。そこからはもう止まらなかった。
「んっんっ、」
最初はまったく動かず耐えてるだけのアリスだった。けど好き勝手に暴れまわる舌と明らかに息継ぎのための休憩が減っていることで本能的に身体が逃げる。セスはそれを許さない。逃げ回る舌を追い回し捕まえる。離れようとする身体を引き寄せて抱き締める。
ルールの紙がもう一度光るまでの15分の間
恐ろしく長く、とても短く。アリスはそう感じていた。
「…終わったみたいね。アリスちゃん。」
ルールが守れたので罰はない。
アリスがホッと息をつくのをみて
セスはニコッと笑った。
けどルールは意地悪だ。またすぐに紙が光る。
「あらっ、随分はやいわねっ」
わかってたかのようにセスが笑う。
「そんなっ…っ」
そこから少しの休憩を挟んで
30分間のキス。
45分間のキス。
とひたすら唇を重ねるルールが続いていた。
「んぁっ…」
ただ、ただ唇を重ねる。口内をセスの舌で侵さられる。ひたすらに続く時間。
アリスの考える力がどんどん奪われていった。
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