第4章 ルカー匂いでふやけ溶けるー
「…る、か、どう、して…?」
やめてくれなかったの?と続くだろう問いかけをルカは微笑みではぐらかす。次にルールの紙が光るまではそんなに時間は要さなかった。
「…、またひかったよ、」
ルカが指差すその先を見てヒュッとアリスが息を飲んだ。
"匂いを嗅いで1時間"
「…よかったね、キスの時とは違って、30分とか45分とかじゃなくて、」
「っ、そんな、」
「…おれは、ちょっとだけ、残念…」
「…へ…?」
なんでもないよ。と告げてルカが再び香水の瓶を手に持つ。
「…、なに、してるの?…ちょっ!ルカっ!」
意地悪に笑ったルカは手に持った香水を首筋に何プッシュか、胸元や膝、指先にまで振りかけ始めた。
「っや、めてっ!」
慌てて口と鼻を覆うアリス。ルカは半分ほどになってようやく瓶を置いた。
「っ、ど、して…そんな、」
「…1時間しかないし、これくらいは大丈夫かなって…ね?…それに…」
大丈夫なわけ!と叫ぶ前にルカに遮られる
「…すみれの弱点…みつけちゃったら、俺だって、全部見たくなっちゃう、よ」
「…ぜ、んぶ…?」
「…おれだけの、アリスが、すみれが、理性をなくして、恥ずかしさまでなくして、壊れるくらい蕩けてちゃうとこ、かな?…全部曝け出して欲しいんだ、俺にだけ…」
「っ、」
なに言ってるのーと言いたいのに真っ直ぐ見つめられて思わず口を噤んでしまう。むせ返るほどのルカの匂いは抱きつかなくても鼻腔に届き立っているのがやっとだ。
「…ねぇ、すみれ…、おいで…?」
呼ばれてるのに動けない。課題なのにーわかっているけど怖くて足が前に出ない。
「…大丈夫、おれが、そばにいるから、」
「っ、」
「…だから、おいで?…すみれ…」
差し出された大きな手。アリスはゆっくり、その手を、とった。
「っ、ひゃっ、」
触れた瞬間に凄い力で引き寄せられポスンッと音を立ててルカの胸に捕まえられる。
「…つかまえちゃった、」
囁かれたらもう後は甘くて濃密なルカの匂いに抗うことができなくなる。
「ーーっ、ぁぁ、やぁっーー」
遠すぎる1時間後を思ってアリスはギュっと目を閉じた。
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