Instead of drink[テニプリ 越前 リョーマ]
第3章 夕暮れ
あの時
あの時は空が赤みがかった夕方だった。
ラケットバッグを肩に担いだリョーマをあの子が追っていった。
声をかけたあの子に多分リョーマは表情を変えず相槌を打った。
並んで歩くあの子とリョーマの姿がこのままずっと目の奥に焼き付いてしまうのではないかと思っていた。
私はリョーマが好きだった。
うんといっぱい、うんとたくさんリョーマが好きだった。
どうして隣を歩くのが私ではなくあの子なのか、
どうして私の声は届かないのか
どうして私が名前を呼んでもリョーマは振り向いてくれないのか
グルグルと脳内を走り回る私の思考は私自身を容赦なく苦しめた。