Instead of drink[テニプリ 越前 リョーマ]
第3章 夕暮れ
「さん」
リョーマがの名前を呼ぶ。
は見上げた夜空から顔を下げリョーマの方を見た。そこに立つリョーマがを見ている。
本当に…何度見てもそこにいるのは自分が心から気持ちを寄せている越前リョーマだ。
「アンタが考えてることとか 全部関係ないから」
の瞬きがひとつ増えた。軽く酸素を吸い込んでそのまま止める。
「俺 さんのことが 好きだから」
吸い込んだ酸素も吐き出せないままもう一度吸い込む。肺に過多になった酸素が行き場をなくして追い詰めてくるように肩が上がる。
私…救われすぎ…?悪いこと起きない?
本当に自分は心配性だ。これ以上ない言葉を今リョーマからもらったのに。
もらったのに私が返答に選んだ言葉はこれだ。
「……私のこと、幸せにしてね」
リョーマは目を丸くした。大きな目が丸く。
その後すぐににやりと笑った。あの顔だ。
笑ったままに向かって左手を差し出した。
そしてはその手を握る。
夜の外灯に照らされたブランコを背にして2人はゆっくりと歩き出した。