Instead of drink[テニプリ 越前 リョーマ]
第3章 夕暮れ
右腕に力を感じる。リョーマが自分の右腕を握っているのをひしひしと感じる。
...勘違い、なんだろうか
わからない。
自分が言ったことも、行動も全部取り消したくて逃げ出したい。
彼女のことが心と頭を支配しているのがわかる。
私は
...彼女に、
あの子に
負けたくない
あの子の、存在が
怖い
いつか、いつか...あの子が自分の思いを叶え
リョーマの隣で笑う時が来るのではないかと
リョーマがあの子の隣で手を差し出し周りがそれを祝福するのではないかと
そのことにずっとずっと怯えてきた。
周りからも自分自身からもそうなるよと断言されたような幻影に取り憑かれ頭を振り払う気力さえ私には。
「離して………」
どんなことを考えこの言葉を発したのか自分でもわからない。わからないがただすべてを否定したかったのだ。リョーマが私を引き止めるのならばそれを否定したかった。