Instead of drink 《テニプリ越前 リョーマ》
第3章 夕暮れ
「そういうところ 直した方がいいんじゃない」
ドキッとした。同時にズキッ…ともした。
耳の奥がキーンとするような。
頭の奥がズーンとするような。
お腹の辺りから身体が冷たくなるような。
リョーマは気の利いた言葉を言えるような性格でもないし女が喜ぶような甘い言葉を言える人でもない。でもが少しだけ期待していた、例えば…そう。
アンタだからいいっていってる
俺が好きだからそれでいいじゃん
こんな言葉を勝手に想像していた。彼の口調にしながら言って欲しい言葉を。言われたい、と思っていた。
ああ逃げ出したい、ここから立ち去りたい。
は正面にいるリョーマに背を向ける。
これが抵抗なのか、拒絶なのか。それとも最もなことを言われたそれからの逃げ道なのか。いずれにしても素直な感情では無い。
「どこがいいって 全部言えば気が済むわけ?」
軽いため息と共に背面から声が聞こえる。
そう、リョーマはこういう人だ。
私が背中を向けたからこう言ったのだ。
こういう人だから私は好きになった。
いつだってこの人は周りを見て気遣う。
今だってきっと私に言いすぎたと思ったからこう言ったのだ。
私は、これに甘えてはいけないんだ。
甘えてはいけない…でも
あの子より私がいいという理由。
それが欲しかった。それを聞いて自信を持ちたかった。あの子は私の最大の弱点なのだから。
例えば今リョーマとこうしていても、あの子がここに来たら私は一瞬で形勢逆転だ。
あの子がリョーマくんと声をかければ私はもうここにはいられないだろう。
だから、