Instead of drink 《テニプリ越前 リョーマ》
第3章 夕暮れ
少しだけブランコが揺れる。
は体制を変えぬまま。変えられないまま。
リョーマは鎖を握ったまま動かない。
あのさ の後何を言おうとしているんだろう
自分を否定する言葉か、肯定する言葉か。
それとも別の
動かないリョーマを横目にスマホを見た。
デジタルの時計が19:00を表示している。
もう遅い、夜だ。
リョーマを家に帰さなければ
「あの、…っリョーマくん、そろそろ帰らないと…」
の声を聞いてリョーマは少しムッとした。
「いいよ、まだ」
声のトーンがさらに落ちた。やや機嫌を損ねた様子が伺える。リョーマはそのままブランコに座った。
腕を鎖に絡め下を向いている。
座ってしまった·····どうしよう·····
これは喧嘩、なのだろうか。の心中は穏やかでは無い。帰ろうと言わなければ。でも明らかに機嫌が悪い。機嫌が悪そうなリョーマはすぐわかる。
「·····っ、あ、あのリョーマくん、帰ら」
「いいっていってるじゃん」
の言葉に被せるようにリョーマは声を荒らげた。怒っている、ような気がする。
それがあの日の出来事を見ていたことなのかが時間を気にしてしきりに帰ろうと言うことなのか。どちらにしてもリョーマは怒っている…。
もうすっかり日も落ちてしまった。
だがこれ以上リョーマに帰ろうの「か」の字でも告げればどんな反応をするかわかるからもうやめた。
やめたけれど、この沈黙は辛い。
は1歩だけ足を前に出しブランコに座ったままのリョーマに言った。