Instead of drink 《テニプリ越前 リョーマ》
第3章 夕暮れ
クラクションが鳴った。
公園のそばを通る車から。
やや下品だけれど楽しそうな笑い声が聞こえた。
リョーマとこうしている間にも、周りは何事もなく動いていることで彼女の名前をリョーマの前で口にしたことを後悔した。
の手に振れていたリョーマはそのまま動かなかった。はそこに一瞬目線を落とした後、ゆっくりとリョーマの顔をみた。目が合った。
「なんで 知ってんの」
リョーマのその大きな目が、真っ直ぐにを見つめてくる。真剣な顔、表情。
何故知っているのかと問うリョーマに返答ができない。
自分はそれを隠れて見ていたのだから。
やや色素が薄く、その瞳の輪郭は濃い目で三白眼の強い眼力。
奥まで澄んでいるような透明感。
少しつり目の猫のような瞳が見つめてくる。不信感で目を細めるわけでもなくただを見る。
あの子とここにいたよねと聞いたからには答えを聞きたい。が
彼がそれに対し何故知っているのかと聞いたのならばそれが彼の答えだ。ここにいたのだ、あの子と。二人で。
だから、何故それを知っているのかという彼の問いに自分は答えなければならない。