Instead of drink 《テニプリ越前 リョーマ》
第3章 夕暮れ
その公園はリョーマの学校の近くにある公園だった。
その公園に入った時から、いや寧ろ見え始めた時からその記憶が頭の中に流れ始めていた。
夕暮れ時、人の姿は殆どなく先程まで誰かが乗っていたであろうブランコが僅かに揺れている。
そのブランコに残る記憶。
あの子はブランコに乗りながら地面に足で何かを書くようにしていた。
その隣に、リョーマがいた。
しばらく目が離せなかった。
あの子はリョーマと同じ学校に通い、同じ歳で私よりずっとずっとリョーマの近くにいる。
が自分の立場や、年齢を一番悔やみ、妬み、羨み全ての負の感情を纏った理由はまさに彼女の存在だったのだ。
はブランコから目を離し誰もいない滑り台へと走り寄る。
階段を駆け上がりそのまま一気に滑り出す。
だが途中で止まってしまった。
「全然滑らないこの滑り台」
わざと明るく言った。
ステンレスのスロープを足で蹴りながら下に降りていく。一向に滑らないスロープで残り4分の1というところで蹴るのを止めた。
足を伸ばして夕暮れの空を仰ぐ。
日が暮れる。今日が終わる。
先程のカラオケでの出来事も思い出していたけれどどうしても記憶に残るブランコでのリョーマと彼女の出来事が邪魔をする。