第17章 16 解かれた秘密(エルヴィン)
落ち着きを取り戻したリヴァイが医師に「いつ、目を覚ます」と静かに聞く。
「点滴で解毒を開始していますので・・・使われた薬にもよりますが早ければ後1時間ほどで・・・」
生気の抜けた顔でハンジから手を離すと緋涙の眠るベットへと腰を下ろした。
「リヴァイ・・・」
今まで見たこともないリヴァイの様子に、私は少しばかり困惑する。
それはここにいる誰もが思ったことだろう・・・
しかしそれを本人に聞ける雰囲気ではないことも重々理解している。
誰も口を開かない時間がどれだけ経っただろうか・・・
医師が「何かあったら呼んでください」と部屋を後にする。
閉じられたドアの音が部屋に響くと、先ほどまでの表情とは打って変わってリヴァイの鬼のような顔が口を開いた。
「ミケを呼んで来い・・・・」
リヴァイの声にモブリットが少し遅れて返事をすると、医務室を急いで後にする。
「緋涙の“能力”について、話しておく・・・他言するな。バレれば中央に引渡さなきゃいけなくなるかもしれん」
“能力”・・・やはり占いの他にもできることがあったのか。
だが、“能力”とはどういうことだ・・・
それ以上はミケが来てからだ、と言わんばかりの沈黙に私は早くミケが来ないかとドアを見つめた。
まもなくして廊下を走る足音が聞こえ、モブリットとミケが医務室へと入ってくる。
「こんな時間にどうし・・・これは一体」
ベットで眠る緋涙に気づいたミケが私へと視線を向ける。
「緋涙が睡眠薬を盛られて強姦された・・・犯人は調査兵団の誰かだと、推測される」
私の言葉に目を見開いて驚いた様子のミケが「これから犯人を捜すのか」とこぶしを握り締める。
すると緋涙のベットに腰掛けていたリヴァイがやっと喋りだした。
「犯人を捜すのはこいつが起きてからだ・・・お前らには緋涙の“能力”について知ってもらう必要が出た。だが、絶対に洩らすな・・・洩らした奴から殺す」
ハンジもモブリットもミケも何も言わない・・・
ただ、リヴァイを見つめ目で訴える。
喋るわけがない、と。
それを確認したリヴァイが話を始めた。