第17章 16 解かれた秘密(エルヴィン)
ハンジの掴む手をそのままにリヴァイは愛おしそうな表情で眠る緋涙の頭を撫でた。
「駒としてただ使われているわけじゃねぇ・・・必要なら俺もエルヴィンを使うということだ」
その様子を目の前で見ていたハンジの表情はわからないが、たぶん驚いているのだろう・・・
ミケも私もリヴァイの表情の変化に言葉を失っている。
「私が緋涙を最大限利用したければ調査兵団に置くしかない・・・それはリヴァイにとって願ったりかなったり、というわけか。」
「そうだ・・・だからこの先 こいつの“能力”がバレる様な事があっても絶対に引渡すな。もしそんなことになれば俺はこいつを殺す」
人類が巨人に勝つためには絶対的な力が必要・・・
人類が巨人の秘密を暴くには無限の探求心が必要・・・
今、私の手元にはこの二つが揃っているだけでも幸運と言える。
そこへさらにやってきた不思議な力・・・
人類勝利の日が近いのかもしれない・・
そして私の夢を叶える日も近い。
「約束しよう、緋涙は絶対に引渡さないと」
視線だけが交わる私とリヴァイの間に言葉を必要としない誓いをたてる。
「私は今回の犯人の意図を調べておきたい・・・何かあれば呼んでくれ」
医務室を一人後にする私は、誰も見ていないくらい廊下で口元が緩むのを押さえなかった。