• テキストサイズ

溺れた先の光

第17章 16 解かれた秘密(エルヴィン)


ハンジのドアの前で呟いた疑問に返答があるわけもなく、私は仕方なく明日にしようと諦めて先ほどの自分の部屋へと戻ることにした。


丁度部屋の前につくと、自分が歩いてきた反対側の廊下からモブリットが走ってくるのが見えた。
「団長!エルヴィン団長!!」
モブリットの慌てように驚きながらも「またハンジが何かしでかしたのか?」と聞くと、思ってもいない返事が返ってきた。

「緋涙さんが・・・緋涙さんが何者かに襲われ、重体・・です」
背中をたらりと冷えた汗が流れた・・・

「一体どこで・・・緋涙ほどの者を襲えるのはリヴァイくらいしか・・」
「ハンジさんの見立てでは、薬を盛られた可能性が高いと・・・と、とにかく医務室へ!!」

前を走るモブリットの後ろについて、私たちは急いで医務室へと向かった。

微かに灯りが漏れる部屋のドアを開けると、ベットの傍で椅子に腰を掛けるハンジの丸まった背中が目に入った。

「ハンジ・・・何があった・・・」
なるべく音を立てないようにベットの傍に寄る。
点滴に繋がれてはいるが、そこへ横たわる緋涙の顔はただ眠っているようにも見えた。

「新しい捕獲用の槍が出来たから、緋涙に見せに行ったんだ。ほら、こういうのはいつも緋涙が最初に試してくれていたからね・・・」

眠る緋涙の手を包むように握っていたハンジの手が微かに震える・・・

「部屋にはリヴァイしかいなくて、緋涙は共同風呂に行ってるっていうから押し掛けたんだ・・・でも風呂には誰もいなかった。部屋に戻ったのかと思ったんだけど、すれ違わなかったから夜風にあたりにでも行ったのかと思って風呂場の窓から外を見渡したんだよ・・・そしたら」

緋涙の手を包むハンジの手が額に触れる・・・

「襲われて気絶した緋涙が・・・」

襲われた・・・その言葉の意味を理解した時、血が滴る程に拳を握っていたことに気づく。
/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp