第17章 16 解かれた秘密(エルヴィン)
ハンジの新しい武器の実験もうまくいき、その後も拠点地を無事に設置できた私たちは壁内へ帰還する。
緋涙には本当に驚かされてばかりだ・・・
ただの占い師かと思えば、リヴァイが見せる立体起動の使い方を、乾いたスポンジの様に吸収。
巨人を削ぐ深さも申し分ない・・・それにあのリヴァイと互角に渡り合う対人格闘スキルもある。
頭の回転も速く、こちらの意図をしっかりと汲み取ってくれる。
だが、私はあの占いの最後がいまだに頭から離れない・・・“鬼が金棒を隠している”とは一体何を隠しているのか。
占いで言う、がリヴァイの金棒であることは間違いない。
なら、なぜリヴァイはその金棒を隠すのか・・・
考えられるのは緋涙が、占いの他にも何らかの特殊な才能を持っているということ。
もしそうだった場合、なぜ隠す必要があるのか・・・
中央にばれたら厄介な才能なのか・・・?
緋涙本人に確認するべきか否か。
リヴァイは隠しているのだから、素直に話してくれるとは限らない。
同じ女性であるハンジに一役かってもらうか
何より、ハンジと緋涙は最近仲がいいようだ。
私は月が輝く夜の空を自分の執務室から眺めフッと一息つく。
もうすぐ日が変わってしまう、と思いながらも部屋をあとにする。
巨人の生け捕りに使うための新しい武器を模索しているハンジが寝ているわけがないと、私はその足をハンジの執務室兼実験室へと向けた。
そう遠くない距離になるその部屋を訪れるも中に人がいる気配がない・・・
ノックしてもモブリットすら出てくる気配がないのだ。
「こんな時間にどこへ行ったんだ」