• テキストサイズ

溺れた先の光

第16章 15 訓練


キレるリヴァイと引かない私のにらみ合いに周りの兵士が距離をとる。

エルヴィンの掛け声で列が動き出すまで睨み合った私たちは、一先ず休戦と言わんばかりに互いの顔を反対側へと向けて流れに合わせる。

展開された索敵陣形でも会話のないまま、ピリピリとした雰囲気で運搬班に精神的ダメージを与えていた。


数回、赤の煙弾が上がるも動く気配のないリヴァイ。
私も特に異論はなく、そのまま運搬班と共に壁外を走り抜けていく。

陣形も機能し、特に問題なく移動し続けているとハンジのいるあたりから赤の煙弾が上がった。
「行くぞ・・・」
それを確認したリヴァイが馬を向けて走り出す。

私もそれについていくために馬を走らせるが、今リヴァイが乗っている馬の馬力があるせいで中々追いつけない。
こっちの馬も全力と言うわけではないが、リヴァイの馬はまだまだ走れそうな余裕を残しているように見える。

こんな馬いたっけ?なんて考えながらも離されていく距離に私は舌打ちをしながら『しょうがない・・・』と自分の馬を全力で走らせる。

追いついたとたんに「遅せぇ・・何してる」と言われてしまった。
その後はこちらに合わせて走ってくれたおかげで変な焦りは出なかったが、代わりに敗北感を味わうことになってしまった。

だんだんと近づく人影と3m級の巨人に目が行く。
「どうやらあれが今回穴だらけにされる実験体らしいな」
と、さらっとエグイことを言うリヴァイに私は苦笑いを浮かべる。

「おーい!!こっちこっちー!!!」
元気に両手を振るハンジの後ろからモブリットの起こる声が聞こえる
「ここは壁外なんですよ!?もっとまじめにしてくださいよ!!」
『・・・ごもっともなお言葉で・・・』
「あいつがその意味を理解した時にはもう、巨人が全滅した後だろうな」


/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp