• テキストサイズ

溺れた先の光

第16章 15 訓練


「ハンジ・・・」
『ハンジ・・・』
モブリットに回収されていくハンジに、私とミケの憐れむ声が聞こえたかどうかはわからない。

微妙な空気の中「終わったなら俺達は戻るぞ。緋涙・・・今日は対人格闘を徹底的に仕込んでやるからな、ありがたく思え」のリヴァイの言葉にさらに冷え込んだ空気が流れた。

「ああ、分かった」と呟いたエルヴィンとミケの憐れむ目が今度は私に向けられた。

『嬉しいです』

魂の抜けた顔でリヴァイの後をついていった私が、その日は体が動かなくなるほど格闘漬けになったのは・・・全くの予想外だった。








次の日からの訓練でも対人格闘がメニューに組み込まれ、いつもハードな訓練がさらにハードになった。
対人格闘の時のリヴァイはすごく楽しそうで、それについていける私もなかなかセンスあるな・・・と自画自賛したが、ハンジ曰く・・・ただの格闘バカにしか見えないらしい。

そんな格闘バカな訓練が日の目を見ることがあるのかいささか疑問ではあるが、楽しそうなリヴァイもなかなかにレアなので、しばらくは付き合うことにしようと考えていた。



しばらく“楽しい訓練”が続いたある日、ハンジが中央に内緒で作っていた自動装填の銃が完成したとミケから話を聞いた。
ハンジは早速試しに行きたいのだが、エルヴィンが下手なところで試し撃ちをすると中央にばれる可能性があるためと、ぶっつけ本番の壁外調査で試そうと言って止めたらしい。

何とも面倒なことになってるな、と考えながら私はミケから聞いたその話にため息をついて返事をした。

後ろで聞いていたリヴァイは「試し撃ちのための壁外にならねぇことを祈ろう」なんて呟いたのには、私もそう願うばかりだった。



/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp