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溺れた先の光

第16章 15 訓練


「お前は足を巻き付けるなり、踏ん張るなりしてうまく下半身を安定させろ。上半身は俺が片手で押さえてやる・・・弾の装填はどうする気だ」
「ミケが隣で並走する、そこから受け取ってくれ」
「こいつがいくらこれで命中させることが出来たとしても、一発限りの銃じゃセミの小便程度しか期待はできねぇな・・・」
耳元で喋るリヴァイの声がくすぐったく感じるも、話の内容には納得できる。
するとハンジが輝いた表情で話し出す
「実は、中央に内緒で自動装填の銃を開発していたんだ!!1挺だけだけど、もうすぐ出来そうなんだよ!!もし、緋涙が走りながら自分のタイミングで銃を扱うことが出来れば・・・!!」
「巨人との戦闘を回避する一つの手段になる・・・それに、ああ・・これはまた今度にしよう。早速始めてくれ」

エルヴィンの先の話も気になるが、まずは私がそれを出来なきゃ話にならない。
「行くぞ」と馬を走らせるリヴァイに、私は慌てて腰に足を回して銃を持った腕をリヴァイの肩の上から回して構える。
ふとリヴァイの耳に目をやるも、しっかり耳栓がはめられていることに安心した。

二人乗りとは思えないスピードで走る馬の振動に合わせて私は自分のタイミングを計る。
すぐにつかんだリズムに一つ目の的を撃ちぬく
隣から渡される銃を受け取ってまた的を撃ちぬく

先ほどの荷馬車よりも速いテンポで正確に撃ちぬける状況に私は心が歓喜した。
密着する身体の熱も、背中から伝わるリヴァイの手の温かさも心地よく感じる。

走り続ける私たちが全ての的を撃ちぬいて、エルヴィンの元へ戻った時にはあまりの達成感にリヴァイを抱きしめてしまった。

「離せ・・・あいつらの好奇の目にさらされたくなかったらな・・・」
その言葉に慌てて体を離すも、ハンジとミケの怪しい目がこちらから離されることはなかった。

エルヴィンはそれどころじゃない様で、「想像以上だ!!これなら巨人の生け捕りも離れたところからの爆撃も夢じゃない」と喜ぶ。
巨人の生け捕りと聞いたハンジは「え!?それ本当エルヴィン!!!いやっほーい!!!!」と飛び跳ねていたのは、いつもみる光景だったかもしれない。


その後はハンジを迎えに来たモブリットの「分隊長!!あんなに書類を隠して!!あんた何やってたんですか!?」という言葉に冷えた空気が流れる。
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