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溺れた先の光

第16章 15 訓練



抱きかかえられたままリヴァイとエルヴィンとハンジか待つ場所へ行くとリヴァイから物凄い不機嫌オーラが漂っていた。

そのオーラにミケもビビったのか、落とすように降ろされた私は間抜けな声で地面に転がった。
そんな私に「緋涙、やはり荷馬車で動きながらの狙撃は難しいか?」と聞いてくるエルヴィン。
「え!?全然すごかったよ!!最後の的は仕方ないとして、他は全部当たってるじゃない」
的を指さしながら興奮気味のハンジにリヴァイが「速度を上げたあたりからは、こいつのタイミングで撃てたわけじゃねぇ」とため息をつく。

砂ぼこりを払いながら私は『動きながらの狙撃っていうなら、馬に直接乗ってる方が揺れも一定だし狙いやすいことは確かなんだけど・・・手放しで乗れるほど馬に乗りなれてない』と答える。

するとハンジがニヤニヤと口元を緩ませながら眼鏡を光らせる。
「なら抱き合った状態で馬に乗って狙撃ってのはどうかな・・・やってみる価値はあると思うんだ・・・」

怪しいその口元に私は少し後ずさりをする。
しかし、そんな私の肩をガシリ、と掴んだエルヴィンが「是非やってみよう」と笑顔で言った。
身長差のあるエルヴィンとミケでは銃を構えるのに位置が悪く、女のハンジでは私を押さえながら馬を走らせるには力不足・・・

「俺しか適役がいないだろう・・・」
「察しが早くて助かるよ。もう一度的をもとに戻してくれ!!」
エルヴィンの言葉に待機していた兵が急いで的をもとに戻して、準備完了の信煙弾をあげる。

『動きながら狙撃しないとダメな状況ってそんなにないよ・・・』
そんな私の言葉に「こんな素晴らしい能力があるんだ、どこまでできるのか知っておいて損なないだろう」とエルヴィンに言われてしまい、諦めるしかなかった。

銃を持って立ち尽くす私に上から声がかかる
「さっさとしろ、グズ野郎」
『ひっど!!』

かけられた言葉に耳を疑いながら、伸ばされたリヴァイの手を掴んで抱き合う形で馬に乗った。


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