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溺れた先の光

第13章 12 資金調達



部屋から宿の入り口まで木箱を4箱運び出して、迎えの馬車が来るのを待つ。

リヴァイは私が頑張って稼いだ金が入っている木箱に堂々を腰掛けてくつろいでいる
『それ、お金・・・』
「てめぇの目にはこれが金に見えるのか?おめでたいやつだ」

それに何も返す気がなくなった私は、やっと来た迎えの馬車に手を振る
リヴァイが後ろで「シカトとはいい度胸だ・・・戻ったらしっかり躾してやらねぇとな」と言っていたのを、私は聞かなかったことにした。

迎えの馬車が目の前で停止すると、中からエルヴィンが降りてきた。
「私も丁度寄付のお願いにシーナに来ていたんでね、一緒に乗せてもらうことにしたんだ」
爽やかな笑みを浮かべながらエルヴィンがそう言うと、目の前にある木箱に視線が移る。

「これは?物資か何かか?」
リヴァイが腰を掛けているため、お金とも食べ物とも思っていないエルヴィンが私に聞いた。

『お、お金です・・・』
それを聞いたエルヴィンの表情が曇っていくのがわかる。

「リヴァイ、大切な資金にそんなことをしてはいけない・・今すぐ」
「ああ?エルヴィン、てめぇにもこれが金に見えるのか?揃いも揃っておめでたいやつらだ」
『てめぇにも、の“も”は私の事です・・・』
「そ、そうか・・・もういい、この木箱を馬車へ運んで本部へ戻ろう・・・」

エルヴィンの言葉にリヴァイはやっとその腰を上げると、軽々と木箱を馬車へと乗せていく。
結局二人で2個ずつ運び入れてしまったため、私は何も手伝うことがなくなってしまった。
そんな私に「君はこれだけの資金を集めてくれたんだ、せめてこれくらいはさせてほしい」とエルヴィンが温かい言葉をかけてくれた。

そんな優しいエルヴィンに見とれていると、後ろから私たちの滞在中の荷物を持ったリヴァイが舌打ちをした。
「さっさと乗れ」
『はい・・・』

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