• テキストサイズ

溺れた先の光

第13章 12 資金調達


そして3日目の夕方
また違う場所に机を出して客を待つと、昨日の貴族の知り合いの人たちだろう・・・
地下街でも何度か見たことのある男たちが占いをしにやってきた

「話は聞いたよ・・・是非協力させてもらうとしよう。ああ、君・・これを」
先に私の前に座った男は昨日の男が持ってきたよりも少し大きな袋を二つ分、隣に立つリヴァイに手渡そうとする。
「・・・」リヴァイは何も言わずにただ立っているだけ。
「君は彼女の付き人だろう?礼くらいいいたまえ」
だが、袋を持っている貴族にそう言われたリヴァイから危ないものを感じた私は『彼は私の調査兵団での上司でして・・・代金は私に直接お願いします!!』と貴族に言う。
横から感じる殺気と今にも射殺しそうな視線を感じながら、私は慌てて他の男たちにも説明する。

「ああ、そうか・・・わかった」と素直に袋を私に手渡しなおしたこの貴族は、かなり空気の読める紳士だと心から感謝した。
次々とその後も占いを続け、並んでいた最後の客が終わったのは夜中の1時を回っていた。

『やっと終わった・・・リヴァイ、一人じゃ持ちきれないから手伝ってよ』
私とリヴァイの間にある50cm四方の木箱に溢れそうなほどの布袋が入っているのを見ながらお願いする。

「俺は荷物持ちじゃねぇってのをわかって言ってんのか?しっかり払ってもらうからな・・・」
先ほどよりはリヴァイの機嫌がよくなったのを感じて私は聞きそびれた弾丸の所在を聞く。
「ああ?あれならこの前の壁外調査の時に奇行種のケツにぶち込んでおいた」
『あー、うん。ありがとう』
「気にするな、汚ねぇモンは汚ねぇところで処分すんのが定石だ・・・てめぇもそう思うだろう?」
有無を言わせぬその顔に私は『その通りです』と答える以外の言葉を持ち合わせてはいなかった。


宿の部屋に積み重なる金の木箱と比例してリヴァイの機嫌が悪くなる・・・
隣でイライラが日に日に増していくリヴァイに怯えながら・・・残りの4日間も資金調達に励んだ
そして宿なのに、掃除も欠かさなかった・・・
この1週間、壁外で過ごすそれよりも辛かったとは・・・口が裂けても言えないだろう。

一つだけ、助かったことと言えば
リヴァイは私が眠るまでベットに入ってこなかったことだろうか
朝も必ず私より先に起きている
変な緊張もなく眠れたことは私にとってこの1週間では最高の幸せだった。
/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp