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溺れた先の光

第13章 12 資金調達



「悪いな、こいつはさっきも言った通り兵士だ。いつ死ぬかもわからん。そんな約束はできねぇ」
壁に寄りかかりながら腕を組んで男へ答える。

「別に寄付が欲しくて俺達はここにきてんじゃねぇ。寄付のおねだりはもっと上の仕事だ、考えりゃわかるだろうが」
見下すような冷たい視線で男へと話しかけるリヴァイに、私は全身から冷汗が噴き出る。

「なら、資金を稼ぎにシーナに来ることはこれからもあるのか?」
「さぁな・・・今回の稼ぎ次第だとだけ言っておこう」
男は何か納得したような顔で私の前にリンゴが一つはいるくらいの布の袋を、どさりと置いた。
たぶん中身は全て金貨だ・・・

「定期的に呼ぶことが出来ないなら、こっちに来た時は私の屋敷へ来てもらうことぐらいできるだろう?」
「ああ、生きてるうちは・・・できるだろうな」
リヴァイと男の会話が途絶え沈黙が続く


「私の知り合いにも話をしておこう・・・是非、また君に占ってほしいからね・・・で、いつまでかな?」
『あと5日です』

男は立ち上がると占い結果を確認もせずに折りたたみ胸ポケットへとしまう。
『あ・・・』
その姿に私はあの時の弾丸を思い出す
「どうかしたかい?」男の言葉に『いえ、何でもありません』と答えると一枚の紙を私へと差し出す。
「これは私の名刺だ、次に来ることがあれば是非いつでも立ち寄ってくれ」
そう言って男は裏路地から立ち去っていった。

『はぁ、冷や冷やしたよ・・・もう少し優しいものの言い方はできないのか・・・』
「ああ?こっちはいきなり話を振られたのを合わせてやったんだ、礼を言うのが先だろうが」
『はい、すみません・・・ありがとうございます』
怒ったつもりが怒られてしまい、私はやはりリヴァイに勝てないと改めて悟り、思い出した弾丸の所在も聞くタイミングを逃してしまった。

「ところであの男はなんだ?ずいぶんとお前にお熱の様だったが?」
『まー・・・追っかけみたいなもんだよ』
軽く聞こえた舌打ちに聞こえないふりをした。


その後はちらほらと一般の客が来るだけで一日が終わった。
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