第12章 11 奪われた土地
馬のない私は荷馬車に乗るかこのまま行くかの二択を迫られたが、遺体と一緒に乗るのも気が引けたため・・・このまま壁内まで乗せてもらうことにした。
途中鳥たちが壁の方からかザワザワと飛んでいくのが目に入る。
変な胸騒ぎにリヴァイの腰に回していた腕に力が入る
「なんだ・・・」
その小さな動きにも気づいて声をかけてくれるリヴァイに私は『嫌な胸騒ぎがする』と伝えると「奇遇だな・・・俺もだ」と返ってきた。
その返事に額から汗が垂れるのを感じる。
「後ろから巨人接近!!!すごい数です!!」
またか・・・とリヴァイに摑まったまま後ろを振り向くとさっきの8体が可愛く思えるほどの数の巨人がこちらに向かって走ってきていた。
『ヤバい、ヤバイよ・・・この数はさすがに仕留めきれない』
このままじゃ全滅・・・と思ったその時
私は巨人が近くにいる私たち人間を見ていないことに気づく
そして思い出す、2回目のリヴァイの占い結果を・・・
『リヴァイ・・・二回目の占い、覚えてる?』
「急になんだ?覚えてねぇがそれがどうかしたのか・・」
前方で「壁に向かって逃げきれ!!!」と叫ぶ声が聞こえる中、私は話を続ける
『最後の占いに、
“壁の向こうで事件が起きる
大きな影に隠れて小さな影が動き出す
それは城の門を壊して消えていく
直せない門に、あなた達は住処を奪われる“
って書いてあったと思うんだ・・・だとしたらこの巨人たちは皆、壁の中へ向かって走ってる』
リヴァイは前を向いたまま「壁が壊されたって事か」と言った。
返事を返そうと思ったが、それよりも先に見えてきた。
巨人が穴の開いたところから壁内へと侵入しているところが
それを見たリヴァイが「もう少し壁に寄ったら立体起動に移れ、壁を上る・・・」と言って馬を巨人のいない壁へと向けて走らせる。
適当な距離で立体起動に移った私の後にリヴァイも壁を上り始める
上り切った壁の上から見えた壁内は、穴の開いたシガンシナ区だけでなく、マリアの中にも巨人が侵入している地獄絵図だった。
“直せない門に、あなた達は住処を奪われる”
脳裏に浮かぶ占いに壊されたシガンシナ区の門に目が行く。
『そのまんま・・・結果になってるじゃんか・・・』
呟いた声は誰にも聞かれることなく風に乗って消えていった。