第11章 10 壁外(リヴァイ)
次の日、感じる視線に目を覚ます
「何見てやがる・・・」
隣のベットから俺の方へと体を向け、緋涙がこちらを見ていた。
『おはよう・・・』
柔らかにほほ笑むその顔は昨日のことを覚えていないようだった。
「何処まで覚えている・・・」
俺はベットから体を起こし聞く
『あの男に気持ち悪いことされて、リヴァイが殺しそうになったから・・・記憶を抜いて、・・・馬車に戻ってからは覚えてない。ただ、すごく疲れた』
頭を軽く押さえながらそう言った緋涙に俺は少し残念な気分になった。
帰ってきてキースから聞いたことを伝えると『うまくいったのか・・・よかった』と胸を押さえて緋涙はホッとした様子だった。
疲れた、と本人は言っていたが・・あれだけイけば疲れもするだろうと思いながらも、俺はそれを口にすることなく立ち上がる。
「さっさと準備しろ・・・壁外調査はもうすぐだ、クソ野郎のせいでくだらん時間を過ごしたからな。今日はみっちりしごいてやるから覚悟しておけ」
『げ・・・』
聞こえた声にじとり、と視線を向けると美しい敬礼と共に『ご指導ありがとうございます!』と叫ぶ緋涙。
それから壁外調査までの数日、演習場から緋涙の悲鳴が響き渡り・・・
エルヴィンやハンジから慰められている緋涙の姿が兵士の間で有名になっていた。