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溺れた先の光

第11章 10 壁外(リヴァイ)



馬車の止まる振動で目が覚めた俺は、腕の中で未だ眠る緋涙の額に口付ける

扉を開けられる前にと緋涙を床に降ろして、外にいる兵に小窓を開けて話しかける

「大きな布を持ってこい、今すぐだ。それまで絶対に馬車の扉は開けるな」

近くにいた兵が返事をして走り出したのを確認して小窓を閉める。

少しして小窓から聞こえた兵の声に再び小窓を開けると、都合よくベットのシーツを持ってきた。
「気が利くじゃねぇか・・・」
軽く礼を言ってシーツを受け取った俺は気持ちよさそうな顔で寝ている緋涙をそのシーツで包み、屋敷から脱出した時の様に担いで馬車を降りる。

部屋まで真っすぐ歩いて向かう途中でエルヴィンと鉢合う。

「どうしたリヴァイ・・・それは、なんだ?緋涙はどうした?」

担いでいる白い物体を不審げな目で見るエルヴィンに「これが緋涙だ。話なら後にしてくれ」と言って横を通り過ぎ再び部屋へと向かう。



戻った部屋で俺はすぐに緋涙をシャワー室へと運ぶ

シーツしか纏っていない体は簡単に洗いやすい状態になる

その後は綺麗に洗った緋涙にパジャマを着せてベットへ寝かせる。

面白いくらいに目を覚まさないこいつに半分呆れながら部屋に一人残すことに不安を感じるも、報告するためにキースの部屋へと足を運んだ。



部屋へ着くと、キースが座っていた椅子から立ち上がり「よくやったぞ!!これからも頼むぞリヴァイ!!」と喜ぶキースの姿が目に入った。

「どういうことだ・・・」

あの状況から戻ってきただけの俺がキースの言葉を理解できないでいると「占いの結果に命を救われたと喜んでいたぞ」と、キースが言った。
その言葉に思い出す・・・

“あなたのお気に入りには鬼がついて回る
一度目でなくなるのはやっと手に入れた薬
二度目でなくなるのは手足
三度目は頭がなくなる”

「そうか・・・それは良かったな」

あの男の占いの結果にほくそ笑む俺は、もう二度とこんなことはできねぇだろうと心で思う。
その後キースに緋涙は大丈夫か?と聞かれたが「少し疲れて寝ている」とだけ伝えて部屋を出る

急に襲う眠気と疲れに足早に俺は自室へともどる。
灯りのない部屋に緋涙がまだ目を覚ましていないことを確認して、自分もシャワーで体を流し眠りについた。
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