第11章 10 壁外(リヴァイ)
包んで担いだ時から緋涙の体が俺の歩調に合わせて反応する
薬でも盛られたか・・・
とりあえず本部に戻るまでに効果は消えるだろう
そんな長時間効果が続く薬なんて聞いたことがねぇ
だんだんと声が漏れ始めた緋涙に俺は少し歩調を早める
「壁外は5日後だってのに・・・あのクソ野郎何してくれてんだ・・・。やっぱり、殺しておくべきだったか」
見えてきた馬車に俺は心なしか安心する
馬車で待機していた兵が俺に気づいて近寄ってくる
「緊急事態だ、急いで本部に戻る・・・さっさと馬車を出す準備をしろ」
近づく兵を制止させ、俺は馬車へと乗り込む。
座席に緋涙を横たわらせ、顔までくるんでいたクロスを少しずらして出してやると艶めかしい表情で呼吸を荒げる姿が目に入った。
『はぁ、っは・・・くる、し・・・ぃ、』
ゆっくりと瞬きしながら俺を見る緋涙に意識が持っていかれそうになる
「馬車に乗った。あとは本部に戻るだけだ・・・」
座席に寝かせた緋涙が床に落ちないように、俺は気に食わねぇが床に座って背中で押さえる。
少しして馬車が動き出す
ガタガタと俺達を揺らしながら本部へと向かいだした。
時折大きく揺れる度に背中で緋涙の声が響く
「どんな薬を盛られたらこんな反応になるんだ・・・クソッ、」
走り出して30分ほど経っただろうか・・・
馬車の揺れが激しくなり荒れ地に入ったことが分かった
今までは、たまに来ていた大きな揺れが連続してやってくる・・・
馬車の中に広がる声に俺の額からは、らしくない汗が流れる
“助けても地獄、その後も地獄”