第10章 9 事件
少し暗い廊下を歩いていくと、突き当たった部屋の中へと依頼主が入っていく。
その後に続いて私とリヴァイが入ろうとついていくと警備の人にリヴァイが肩を掴まれる
「なんだ・・・その汚ねぇ手をさっさと離せ」
リヴァイの元へ向かおうとすると今度は依頼主に私が肩を掴まれる
「君の占いはとても良く当たる・・・これは機密事項にも似たものだと思わないか?私も見られたら困るんだよ・・・わかってくれるね?」
男が何か含んだような顔でそういう。
私はその奥にあるものを読み取ることが出来ずに返事ができないでいた。
「っち・・・何かあったらすぐに呼べ。訓練の時と同じだ、わかってるな」
リヴァイが警備の手を振り払い投下の壁に寄りかかる。
警備の人も依頼主もそのリヴァイの言動に視線を向ける
私はリヴァイの言葉の意味をすぐに理解して、自分に視線が向いていない今がチャンスだとすぐにシエロを出してしおりを挟んで能力を使う
準備が終わったところでタイミングよく依頼主がこちらへと向く
「さぁ、君の上司もああいっていることだし・・・早く済ませてしまおうか」
閉じていくドアの隙間から、見えなくなるまで私はリヴァイを見ていた・・・依頼主の言葉に違和感を感じながら。
~バタン・・・~
その見た目には不釣り合いな重い音で閉じたドアに、私の違和感は膨れ上がっていく。
「こっちに座って・・・・」
豪華なソファーへと言われた通りに腰を下ろして依頼主を見る。
その横ではメイドが紅茶を入れている姿が目に入った。
「ああ、お茶を入れたらこの子もすぐに出て行くから安心してくれ」
ニッコリとほほ笑む男に私は『そう・・』とだけ答えて持ってきていたカバンから占いに使う紙とペンを取り出し、依頼主の前に置く。
『名前と生年月日、血液型を記入してください・・・占いに使います』
「そうだったね、すっかり忘れていたよ・・・」
男はそう言って紙に記入する
忘れていたよ?
私はその男に見覚えがない。
またもや膨れ上がる違和感にだんだんと胸騒ぎがしてくる・・・
嫌な汗がたらり、と背中を流れる
男が書き終わると同時にメイドが私たちの前に紅茶を置く
「それでは失礼します」
そのまま部屋を後にしたメイドは不釣り合いな音のドアから姿を消した。