第10章 9 事件
次の日、私とリヴァイは馬車に揺られながらシーナへ向かっていた。
向かい側に座って目を瞑るリヴァイに自然と目が行く。
毎日同じ部屋で寝ているとはいえ、その寝顔を見ることはない。
いつも私が先に眠り、私の方が遅く起きるからだ。
何とも貴重なその寝顔に目が行くのはしょうがないだろう
しばらくその寝顔を堪能していると急に眠っていたはずのリヴァイが口を開く
「そんなに見られたら寝れるもんも寝れねぇだろうが・・・」
怒られた私は『ひぃ・・・すみません』と情けない声で謝り下を向く
すると近寄る気配がしたとおもったらリヴァイが下を向く私の顎を指で上げる
「嫌ならやめてもいい・・・俺は今回の事にあんまりいい気はしてねぇ」
と言ってきた。
吸い込まれるようなその目に私は『じゃあやめる』と言いそうになった口を急いで閉じてリヴァイの手から逃れる。
『調査兵団にお金がないのは分かってたし、何か役に立てることがあるなら役に立ちたいと思っただけ。だから大丈夫』
私がそう言うとリヴァイはそれ以上何も言わなかった。
そしてそのままシーナで私を待っているという貴族の屋敷まで会話のない馬車は走り続けた。
屋敷へ着くと中から依頼主である男が姿を現す
「待っていたよ、さぁ、中でゆっくり話そう」
思っていたよりも若いその男に私たちは案内されるままついていく。
いつもは私の前を歩くリヴァイが今は後ろから「ゆっくりしている暇はねぇ、さっさと終わらせろ」と私に耳打ちしてきた