第10章 9 事件
壁外調査を一週間後に控えたある日、私はキース団長に呼ばれてリヴァイと団長の部屋に来ていた。
話の内容はいずれ来るだろうと思っていた内容だった。
「お前に占いの依頼が来ている。定期的に占いをしにくれば、調査兵団への寄付を考えてもいいそうだ・・・」
団長の言葉に私は『たくさん分捕って見せます』と言おうとしたが、それはリヴァイによって止められた。
「こいつが行かなきゃならねぇ理由はなんだ、占ってほしけりゃてめぇが来いと返事をしておけ」
かなり不機嫌そうな顔で団長にそう吐き捨てるリヴァイに私は『たまにあっちに行くのも息抜きになっていいよ』と慌てて言うと「てめぇには息抜きする必要ないと思っていたんだがな・・違うか?」と返されて、掃除がすでに息抜きになってしまった私は返事に困ってしまった。
~コンコンコン・・・~
団長の部屋にエルヴィンが入ってくる。
「話はキース団長からきいているよ。リヴァイ・・・緋涙の占いはかなり人気でね、貴族たちにも受けがいい・・・。万年資金不足の調査兵団の為に、たまにシーナに行って占ってくれると助かるのだが・・・何とかならないか」
エルヴィンがそう言ってキースの代わりにリヴァイと話の続きを始める。
「こいつをどこかへ連れて行くときは俺も必ずついていくことが絶対条件だ」
と言ったリヴァイに「ありがとう、助かる」とエルヴィンがニコリとほほ笑みかける。
それを見ていたキースがホッと息を吐いたのがわかった。
「早速、明日にでも行ってきてくれ。これに場所がかいてある」
団長から手渡された封筒を受け取って私はリヴァイの顔色をうかがう。
「リヴァイと緋涙は明日から3日間の休暇をやる、しっかり稼いできてくれ」
と団長がいった言葉に少しだけ眉間のシワが浅くなったのがわかった。
部屋を出るときに後ろからエルヴィンが私に向かって言った・・・
「君には期待しているよ」