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溺れた先の光

第9章 8 服従




あれから馬車で連れてこられたのは調査兵団の本部。

ついてこいと言われた通りただついて歩いているだけで基本的な挨拶なんかが終わってしまったのは驚きだった。

ただ、立体起動装置・・・と言うものの適性検査を受けて訓練兵として2年間兵士としての素質云々なんて言っていたのだが、それはリヴァイが「俺が面倒を見る、文句あるのか?」と団長を黙らせてしまったのは第二の驚きだった。

『ねぇ、立体起動装置なんて使ったことないから、しっかり訓練した方が・・・』

目の前を歩くリヴァイに恐る恐るそう口にすると、ゆっくりと振り返り言う・・・
「従うと言ったのはどこのどいつだ」

『私です』と小さな声で返すのが精一杯だった。

なぜかこの男には逆らえない不思議な雰囲気がある。
この本部に入ってからも、他の兵士たちが彼をよけて歩いているような感じがするのは・・・気のせいではないと思う。

本部に来てからはずっと歩きっぱなしで、中を案内されながら挨拶周りなどに付き合わされてもう私はくたくただった。

エルヴィンは分隊長らしく、色々とやらなくちゃいけないことがあるとかですぐにいなくなってしまったのが少し残念。
リヴァイはあんまり喋らないし、すれ違う人たちからは変な目で見られるし・・・

『そろそろお腹も空いたし、疲れた。疲れたよ、リヴァイ・・・』

お腹を押さえながらそう話かけると、ちょっと大きめの扉の前でその足が止まる
「ちょうど食堂についたところだ、てめぇは少しここで休んでろ。あとで迎えにくる」

リヴァイはどの扉を開けると、自分は中に入らずどこかへと向かって歩いて行ってしまった。

『えー・・・一人で待つのかよー・・・』

空けられた扉から感じる視線にさらに疲れが上乗せされたが、仕方なく私は中でリヴァイが迎えに来るのを待つことにした。
食堂ではおばちゃんが数人で夕飯の準備をしているところだった。

忙しそうなその様子に声をかけることもできずに、近くの席へと腰を下ろす

テーブルに肘をついて頭を支え、じっとおばちゃんの姿を観察している時だった。

「ねぇ!!君、君だよね!?リヴァイが連れてきた新人って!!」

眼鏡をかけた女・・・?が勢いよく表れて私の前に座った

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