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溺れた先の光

第8章 7 交渉(リヴァイ)




思い出すのはあの日の雨

思い出すのはあの日の光景

思い出すのは・・・



「俺はもう地上権なんかに興味ねぇんだよ・・・わかったならさっさと消えろグズ野郎」

目の前に転がるブタになり損ねたクソ共に向かってそう吐き捨て、緋涙を抱えて窓から飛び降りる。天井が崩れた衝撃で、すでに割れていた窓からすんなりと脱出できた俺はそのまま来た道を走って戻る。

『あーあ、もうあの部屋には戻れない・・・』

クソ共から逃げている中、なんとも呑気なことを喋るこいつに選択を間違ったか、と思ってしまう。

「ここから逃げ切る、後の事はそれからだ・・!」
そして俺は緋涙を抱えたまま地下街の入り口で待っているであろうエルヴィンの元へと向かう。

途中クソ共からの攻撃があったものの、俺達にその攻撃が当たることはなかった。




走りなれた道とはいえ、人を抱えて走るのはやはり疲れる。
入り口で腕を組んで立っているエルヴィンが俺達を確認すると、状況を理解したのか馬車の扉を開けて叫ぶ

「飛び込め!!すぐに出発する!!」
後ろを素早く確認すると、まだ10人くらいの奴らが追いかけてきているのがわかる。

「オイ・・・馬車に乗っても最高速度に入るまで時間がかかる。他にも能力とやらが使えるならあいつらをどうにかしろ・・・」
抱える緋涙にそう言うと『えー、今の状態での放出系は全然ダメなんだけどな・・・』とぼやきながらもぞもぞと動き出す。

次の瞬間、風圧で体が押されていくような感覚になる。
だからと言って俺自身が前に進んだわけじゃない。
後ろを振り返ると追いかけてきていた奴らが後でコケて、それが次々積み重なっていくのが見える

とにかく今のうちにと、エルヴィンが待っている馬車へと滑り込むように入っていった。


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