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溺れた先の光

第8章 7 交渉(リヴァイ)


だがすぐに占い師の笑顔が消える・・・瞬間背筋がゾワリとする

『何が目的?人身売買なら・・・殺す。』

冷たい目で俺とエルヴィンに視線を向けると占い師は右手を自分の胸の高さに持ってくる。

「違う、人身売買ではない。安心してくれ、私たちは調査兵団の者だ。君に尋ねたいことがあってここへやってきただけなんだ。」

落ち着いた様子で占い師に言うエルヴィンの横で、俺は占い師の右手から目を離すことが出来なかった。

「てめぇ、その手の本はなんだ・・・」

そう言った俺に二人の視線が向けられるのがわかる。

『な、何のことだ・・・』
「リヴァイ、急にどうした!?」

「しらばっくれやがって、その得体の知れねぇ本から嫌な感じがするんだよ!!」

俺は占い師の元へ行って、右手の本を掴もうとする。

「(スカ・・・)なんだ、一体どういうことだ・・・」

どんなに触ろうと占い師の手の上で自分の手を振っても触ることが出来ない・・・

幻でも見ているのか・・・

「落ち着けリヴァイ!!・・・私には、何も見えない・・・・」
「あ?何言ってやがる・・・笑えねぇ冗談はやめろ!!」

イラついてエルヴィンの胸倉をつかむが嘘を言っているようには見えない・・・。

エルヴィンから手を離してすぐに占い師を睨みつける。


すると占い師は困ったような顔で言った。

『私の変な噂でも聞いたのかな?』

「化け物を飼ってるって噂ならな」

いまだフワフワと浮いている本に俺はどうしたらいいのかわからない。

エルヴィンに視線を移すもその目は占い師の手は見ていない

少しの沈黙の後、占い師が口を開く

『そうだな・・・黒髪の男が地下街出身なら、そいつと二人だけにしてくれるという条件で尋ねたいことってのを聞いてあげてもいい』

聞こえた言葉に少し驚き、俺はエルヴィンと目を合わせる

「彼は地下街出身だ・・・リヴァイ、頼んだよ」

エルヴィンに頷くだけの返事をした俺は、もう歩き始めている占い師の後を追う。
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