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溺れた先の光

第6章 5 能力




黒髪の男たちが捕まってしばらくたったころか、私はシエロに文字だけのページがあることに気づいた。

『ねえシエロ、この文字だけのページはどんな能力なの?』
びっしりと文字が書き込まれている七色のページを開きながらシエロに問う。
「コノページハ、マスターガキホンノウリョクヲツカウトキニ・・・ヒツヨウナページデス」
『ん?基本能力?・・・どういうこと?ネンのこと?』
「マスターガワタシヲツクッタトキ、セイヤクトセイヤク、ガクマレマシタ・・・」
シエロが今話している“マスター”とは一体誰の事なのか。
私が今はマスターだが、私の前に違うマスターがいたと考えるのが普通・・・だよね。

マスターという言葉に頭がこんがらがってしまいそうになる私に、シエロはお構いなしに説明を続ける。

「マスターガジブンダケデネンノウリョクヲツカウコトハデキマセン。キホンノウリョクモワタシヲヒライテカラデナイト・・シヨウフカノウデス」
『え、何?普通は自分の意志で使えるんだけど、私は占いする時みたいに全部シエロが必要なわけ?』
この部分が制約?になるのか・・・と思いながら聞くと「ソノトオリデス」と答えが返ってきた。

「マスターハ、ネンノソウリョウ、ホウシュツリョウヲ、シュギョウニヨッテ・・フヤスコトデページスウヲ・・フヤスコトガデキマス・・・」



シエロの説明により、この便利な本を作った人はかなりすごい!と無理矢理頭を理解させてあまり深く考えることをやめた。

明日もまたそれなりに客が来る・・・
疲れたな・・・
治安の悪い地下街で明日も平和に過ごせることを祈って私は眠りついた。

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