第6章 5 能力
黒髪の男たちが何やら騒ぎを起こして連れていかれたとのうわさを耳にした。
どうやら地上にある調査兵団とやらに連れていかれたらしい。
私もここに来て1ヶ月ほど経つが
ここが地下街だと知ったのはつい最近だった。
この地下街の上には地上があって、明るい空が見えると話している男たちの会話を耳にしたからだ。
私の占いに顔をだす身なりのいいおっさんたちが、地上に住む貴族だったことも・・・知ったのは最近だ。
占い業が落ち着いてきた私は、喋る本に名前を付けることにした。
毎回毎回“喋る本”と呼ぶのも気が引けてきたためだ。
『テイク』
早速喋る本をだして私は本に聞く
『名前を付けてあげようと思うんだけど、何か希望はある?』
すると本がスキャンしていないのにページをめくり始める。
「マスター・・・ノスキナナマエ、ヲツケテクダサイ」
ピタリと止まったページは白紙のページ
喋る本は「キマッタラ・・・ココニホゾンシマス」と言った。
考えに考えた末、私はシエロと名前を付けた。
シエロにすると喋る本に言うと、先ほどのページに読めない文字が浮かび上がってくる。
パタン、と音を立てて閉じた本・・・シエロが喋る
「ツギカラハ、テイクデハナク・・シエロ、デモハツドウスルコトガカノウニナリマシタ」
『すごい学習能力?だねシエロ』
軽く手を叩いて感心する私に「アリガトウゴザイマス・・マスター」と返事が来た。