【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】
第13章 漆黒の特急
自然と近づいてくる唇
思わずぎゅっと目を閉じた
にも関わらず、
思っていた感触がない
そっと目を開ける
沖「…キスされると思いましたか?」
間近にある沖矢さんの顔
『またからかったんですか!』
沖「すいません、つい
意地悪したくなりました」
『もう、沖矢さんなんか
きら…んむっ!』
急に唇を奪われて
びっくりする
いつもみたいに
長いキスじゃなく
すぐに唇が離される
沖「葵さんから
嫌いという言葉は
聞きたくありませんから
塞がせて頂きました」
にこりと微笑んだ沖矢さん
『…じゃあ、意地悪しないで下さい』
沖「それは出来ませんね」
即答された
ふいっと拗ねるような態度を取ると
ぎゅっと腕の中に包まれる
沖「そろそろ有希子さんの所に
行ってきますので
大人しくしていて下さいね?
あと、何かあったらすぐに
連絡するように」
そう言われて頭にキスを
落とされる
『そんなに心配しなくても
大丈夫ですよ』
沖「心配しますよ、
貴女だから…」
なんて言われて
また心臓がうるさくなる
沖矢さんはではまた、と
言いながら部屋を出て行った
カップに残ったコーヒーを
飲み干して再び窓の外を見つめる
この後殺人事件が起きて
人が死ぬ…
こちらの世界に来て
死体を見なかったのは
運が良かっただけなんだ…
このまま何も起きなければ
いいんだけどなぁ…
なんて思っていたら
ふと、お手洗いに行きたくなった
そおーっと客室の扉を開けて
廊下を覗く
誰もいない事を確認して
お手洗いに向かった
用を達して
私は自分自身の気配を
出来る限り消して
お手洗いの扉を出て来た時と同様
そぉーっと開けた
その時真後ろから
声をかけられる
安「おや、貴女も乗って
いたんですね、葵さん」
そこには安室さんが立っていた
一番会いたくない人と
出会ってしまった
腕を引かれて
逃げられなくなる
『あ…離して下さいっ』
恐怖で震えて
体に力が入らなくなる
.