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【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】

第81章 残党




首に回る男の腕を
渾身の力を込めて思いっきり噛んだ


男は怯み、その隙に
するりと腕から抜け出して
階段を目掛けてダッシュする


残「待て!」


後ろを振り向かずに
階段を駆け下りた


逃げなきゃ…!


恐怖が襲う。
それでも一生懸命走って
何度も建物の角を曲がり続けた


裏路地まで逃げ込み
一度立ち止まり前屈みになり
両膝に両手をついた


子供の体の肺活量は少な過ぎる…


上がった息を整えようと
深呼吸を繰り返す


冷静になって…


秀一さんと合流しなきゃ…


だが、無我夢中で逃げて来た為
ここが何処かも分からない


後ろから聞こえる残党の声


立ち止まっちゃダメだ…!


重たい脚を動かして
再び走り出そうとした


残「鬼ごっこは終わりだ」


後ろを振り返ると
男がすぐそこまで来ていた


反射的に走り出した


またいくつも角を曲がり
男を巻こうと試みた


だが、最後に曲がった角の向こうは
行き止まりで高い塀が
私を見下ろしていた


この体じゃ登れない…


どうしよう…


周りには身を隠せそうな場所もない


もうダメかと諦めかけた。


『いや、まだ終わりじゃない』


私は昨日哀ちゃんに返そうとした
APTX4869の解毒薬の試作品を
手に握った


それを勢いよく口に運び、飲み込んだ


ドクン、と心臓が大きく跳ねる


息が詰まり、見る見るうちに
体は大きく変化した


呼吸を整える暇もなく
私は塀を乗り越えた


フラフラと覚束ない脚を
一歩、また一歩と前に出した


『早く…秀一さんと合流しなきゃ…』


心の底から願った


直ぐに私を見つけてくれると…


赤「葵!」


『秀一さん…!』


目の前に現れた彼は
私の体を包んだ


赤「どうしてこの姿に…」


『話は後です!
残党の1人が私を狙って来てるんです!』




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