【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】
第70章 さざ波の夢
『な、ナンパですか…っ』
この人、海に女性をナンパしに
戻って来たのか…?
赤「そのつもりは無かったんだがな
泣いてる君を見て、ついな。
どうせ帰れないんだろ?」
『帰れませんけど…』
赤「よし、決まりだ」
そう言い、私の手を握り
歩き始める
赤「靴や、荷物はどうした」
それが何も持ってないんですって
言ったら怪しまれるよね…
『家に…置いて来ました』
赤「何も持たず裸足で歩いて来たのか」
そうなりますよね…
私は何も答えずに俯きながら
手を引かれる方向に歩いていた
すると急に秀一さんが
立ち止まるもんだから
背中に激突してしまい
赤「ほら、おぶってやるから」
背中を向けて
目の前でしゃがむ秀一さん
『え、遠慮します…』
思わず断ってしまった
赤「裸足の女を歩かせる趣味は無い
それとも姫抱きの方が
好みですか、お姉さん?」
顔だけこちらに向けて
にやりと笑う秀一さんに
私はドキドキと心臓を鳴らせて
背中に乗った
『有栖川葵…
私の名前です。だからその、
お姉さんってやめてください…』
赤「有栖川葵さんね、
俺の事は知っている様子だが…
赤井秀一だ、よろしく」
何故知っているのか
追求してこないんだ…
『よろしくお願いします』
とくとく、と私の心臓の音が響く
秀一さんに会えて嬉しくて
彼の広い背中は安心を与えてくれる
赤「ホテルに着いたら
何があったのか聞かせてもらうからな」
『やっぱり…話さないとダメですか?』
赤「ああ、このまま
迷子だと警察を呼ばれたくないならな」
『分かりました…』
諦めよう。
信じてくれなくてもいい
だけど、本当の事を話そう
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