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【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】

第69章 おやすみ、ティフィン




息を切らして
辿り着いた指定場所は
廃工場だった


中に入ると吹き抜けの二階の
割れた窓から落ちかけた
緋色の夕日が中を照らす


視線を下に降ろすと
黒い人影が見えた


『ベルモット…!』


人影はくるりとこちらを向き
一歩、また一歩と近付いてくる


べ「まさか、本当に生きているなんてね」


ベルモットは拳銃を
こちらに向けた


『…私が生きてる確証は
無かった、という事ですか…?』


べ「そうよ。
貴女の事、色々調べたのよ?
でも、何一つ情報が引き出せなかったのよ
まるで、この世に存在しない人物みたいで
気味が悪いわ…
だから貴女と関わりのある人物なんて
分かるわけないわ」


…嵌められた…


私はまたやってしまった、と
後悔の渦に飲み込まれた


ベルモットは私に近付きながら
言葉を続ける


べ「可哀想な子猫ちゃん
ほら、泣かないで?」


『…泣いてなんかない』


考えろ…この場を切り抜ける方法を。


…ベルモットは私の生死を
確認する為に呼び出した


生きていればすぐに
殺されても可笑しくない


でも、何故発砲しない


ベルモット…組織…


…APTX4869


『…私に聞きたい事が
あるんですよね…?』


私は、目の前に立ち銃口を向ける
相手を見上げた


べ「少しはお利口みたいね
一つ、聞きたい事があるの
貴女をそういう
体質にした人は誰かしら?」


やはり、そういうことか…


『教えません』


べ「教えてくれたら
貴女を見逃してあげてもいいわ」


教えれるわけがない…


ベルモットは私の手首を掴み上げた


べ「答えなさい!」


『死んでも答えない!』


べ「そう…いいわ
苦しみながら死になさい」


ベルモットはポケットから
金属のケースを取り出すと
片手間でケースを開け
中から注射器を出した


瞬時にヤバイと悟ったが
逃げ出す暇もなく針は
掴み上げられた腕に刺さっていた


べ「じわじわと毒が回っていくわ」






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