【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】
第64章 伝わらない気持ち※
『ごめんなさい…
安室さんの様子が
気になっているのは本当の事です
でも、昴さんが
嫌な事はしたくないです…』
昴さんはひとつ溜息を零した
沖「…仕方のない子ですね。
いいですよ、その代わり
今夜は私の言う事を
何でも聞いてくださいね」
"今夜"という単語だけで
そういう事だと勝手に脳が理解する
『その…何でも、と言うのは
例えばどんな…』
沖「何でもは何でもですよ。
聞けますか?」
妖しい笑みを浮かべる昴さん
私がわがままを言い出したのもあって
やっぱりいいです、とは言えずに
首を縦に振ってしまった
それから昴さんの車に乗り
ポアロに着くまでの時間は
あっという間だった
ドアベルの音と共に
店内へ入るとカウンターの内側に
安室さんが立っていた
いらっしゃいませ、の声と同時に
視線が絡み彼の姿を見て少し安心する
安「おや、これは珍しいお客さんですね
葵…ちゃん、元気にしていたかい?」
子供姿の私に対して
子供扱いをする様に
ちゃん付けをする安室さん
『元気ですよっ、安室さんは?』
そう言いながらカウンター席に座り
隣に昴さんも座った
安「僕も元気ですよ
ところで今日はどうしたんですか?」
沖「葵さんが、ケーキを
食べるならポアロに行きたいと
駄々を捏ねてしまって
仕方なく連れて来たんですよ」
『そんな、駄々っ子みたいに
言わないでくださいよ…』
本当は安室さんの事が
気になってて、と言うのは
横にいる昴さんが怖いから
口が裂けても言えないな…
沖「駄々っ子じゃないですか」
昴さんからしたら
私は駄々っ子なのかも知れない
いつもわがまま言って…
駄々を捏ねてるつもりは無いけれど
そろそろ本当に
呆れられてしまいそう…
自然と顔を俯けて
床を見つめていた
安「全く、沖矢さんの所為ですよ
ほら、ケーキ食べて元気出してください」
ことっ、とカウンターの上に
オレンジジュースとケーキを
置いてくれて
視線は床からケーキに目移りする
『いただきます』
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