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【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】

第60章 剥離




目に溜めた涙に
気付かれないよう俯いた


その時視界に
光るモノが入ってくる


秀一さんがくれたネックレス…
これにはGPSが付いてる。


秀一さんならきっと
追い掛けて来てくれている筈…


横目で安室さんを見ると
スマホを操作しながら
運転をしていた


私の視線に気付いてか
一瞬こちらを向いた後
彼は口を開く


安「葵さん、答えれる範囲で
結構ですので僕の質問に答えて下さい」


『…嫌です』


安「場合によっては
赤井の元に帰してあげますよ」


『…わかり…ました』


安室さんはスマホを置き
私の方へ手を伸ばし
ふわり、と頭を撫でた


安「あそこで取引が行われる事を
事前に知っていた様ですが
どこでそれを?」


組織の命令で
麻薬密売の情報を入手した。
そしてその情報を餌に
金を巻き上げようとする組織の
取引の邪魔をした
秀一さんと共に。


とは言えない。


一度組織に
麻薬密売の情報を漏らしている事が
分かってしまい
私自身が組織から仕事を
与えられていると直ぐに分かるだろう


言えない。答えれない。


『…ごめんなさい、言えません…』


安「…では、取引の邪魔をしたのは
何故ですか?」


『…もう、組織の思い通りに…
…させたくないんですっ…』


安「危険な事だと分かっているんですか」


『そんな事っ…分かってますっ!』


体が震える
涙が止まらない


『…安室さんもっ…わたしの、
…身勝手な行動をっ…
邪魔だと言いますか…っ』


両手で顔を覆い
声を上げて泣いた


何か行動に移せば
失敗してしまう自分が悔しかった


安室さんは慰める様に
頭に手を置いたままで。


安「この件は赤井の指示ではなく
貴女がやったんですか?」


私は小さく頷いた


安「僕は葵さんを邪魔だと
思った事は一度もありませんよ
ただ何も教えてくれないから
ずっと気になる存在ですが…」


その言葉で少し気持ちが
楽になった気がする


安「しかし…赤井絡みとなると
少々腹立たしいですね」


声色が変わったのが
はっきり分かった


パッと顔を上げて
安室さんのほうを向けば
妖しい微笑みを浮かべていた



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