【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】
第5章 元気が出るおまじない
お夕飯を食べ終わり
私が食器を片付けて置きますので
お風呂に入ってきてくださいと伝えた
沖矢さんは
では、お願いしますと言い
ダイニングルームを後にした
カチャカチャと食器を洗う音が響く
あっという間に今日が終わるんだ
これからどうなるんだろうかと
不安に思った
元の世界…
あの退屈で変わり映えのない日常…
赤井さんの居ない世界…
私が存在する世界。
…戻らないといけない
でも…戻りたくない気持ちがある…
食器を片付け終えて
先ほどの書斎へ向かう
今度は迷子にならずに
すんなりと着いた
そして現実逃避をするように
さっき閉まった本を手に取り
床に座り込んで読み始める
全く内容が頭に入らない…
一旦本を閉じて横に置き
膝を抱えて下を向く
元の世界に戻りたいか
戻りたくないかは今は考えないでおこう
それより、無くなった記憶を
思い出さないと…
じゃないと
どうやってこの世界に来たのか
わからないままだ
うーん、と頭を抱えていると
お風呂上がりの赤井さんが
目の前立って居た
『赤井さん…』
見上げるように顔をあげた
そっか…お風呂入った後は
変装がとけて
沖矢さんじゃなくなるのか
赤「どうした、そんな顔をして」
『…考え事をしていたんです』
そっと隣に座ってくる赤井さん
ぽんぽんと頭を撫でられる
赤井さんに頭を撫でられることに
少々慣れてきた
赤「何を考えていたんだ?」
また答えづらい質問をされる
何て答えようと考えていたら
肩を抱き寄せられる
本日何回目だろう
どきりと心臓が跳ねた
赤「また言えない事か?」
『…いや…その…』
図星を突かれ
余計に返答に困る
赤井さんは
何でもお見通しなのか
『…もし…帰り道がわかって
赤井さんとお別れすることになったら
…少し…さみしいな…なんて
思ったりしてたんです』
へらっと笑ってみせた
.