【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】
第29章 記憶の真相
半年前のあの日ーーーー
私はいつもと変わらない
退屈な日常を過ごしていた
でもそんな退屈な日々を
キラキラと輝かせてくれる人がいた
私の恋人
彼は太陽みたいに笑う人だった
大学の時に知り合って
それからお付き合いを始めて…
幸せだった
でもその幸せは突然消えた
両親の不慮の事故
そのまま両親は他界した
親戚もいない私には
彼だけが救いだった
彼はそんな私を
いつも支えてくれていた
大学を無事に卒業してから
彼と同棲を始めた
時が経つにつれて
両親の死別の悲しみは
薄れていった
彼のお陰だろう
だが半年前のあの日
彼も不慮の事故で他界してしまった
連絡を受けて
悲しみの渦が私を包んだ
昨日までの日常は
どこ行ったんだ
私は彼の後を追って
ビルから飛び降りたんだ
真っ赤に燃える緋色の空の下で
最後に思ったのは
死ぬまでに
名探偵コナンが
完結してほしかったな…と。
呑気な事を思った。
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最後にあんな事を思ったから
名探偵コナンの世界に
私飛ばされていたのか…?
私はあっちの世界で
あの日の記憶だけじゃなくて
彼と過ごした記憶も失っていたんだ
とても大切な思い出
赤井さんも恋人を失ったけど
それでも前を向いて生きたんだ
私は現実を受け入れられなくて逃げた
赤井さんは…強いな…
私は本当に弱い人間だ…
強くならないと…
あの世界を守るために…。
でもどうやって
あの世界に戻れるんだろうか
おもちゃの指輪を握りしめて
考えた
『あの…外の空気を吸いたいので
屋上まで連れてってもらえませんか』
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